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近大学長「常識破りの大学解体新書」を読んで

 大学の現状について、私立大学577校のうち定員を満たしていない大学は、257校 約44.5%に上るといわれています。その理由としては、18歳人口は減っているが、大学の数や定員は増え続けていることがあります。学生確保のため大学の方策は、大学入試難易度を下げ、入学試験の回数を増やしてきました。つまり入学者の質を下げても学生を集めているのが現状です。

 大学氷河期といわれるなか、近畿大学は2014年度入学試験から志願者を集めた大学のトップの座を占めています。(その前年4年間は明治大学がトップでした)

 そこで、近大学長「常識破りの大学解体新書」(著 塩崎均)から、大阪の東大阪市という大阪の郊外に立地する近畿大学の強さの秘密を探ってみました。

 ・近畿大学の入学式は、賑やかで有名です。なぜなのか

 退学や留年にしっかりと取り組むために、モチベーションを高め、新しい環境に馴染んでもらい、希望溢れる未来に進んでもらいたという思いからなのです。

 余談ですが、KinKiという単語は風変わり・変態などを意味するKinKyと似ているため、近畿大学はKINDAI UNIVERSITYの英語表記へと変更したそうです。

昔には、赤門・鉄門・黒門・白門と大学を門の色で表わしていました。

赤門は東大、鉄門は東大医学部、黒門は専修大学武家屋敷が多かった)、白門は中央大学(前身の法律学校のイメージ)

 ・建学の精神が大学の個性となっている

 近畿大学は、「実学教育」と「人格の淘冶」という建学の精神を引き継いでいます。

 ・大学は社会とつながっている

 近畿大学の学生に自分の大学をもっと好きになって欲しいという思いのなか、近大マグロは、近大のPRや学生たちに大きな誇りを与える力となっています。(大阪グランフロントと東京銀座に「近畿大学水産研究所」レストランとして出店している)

 ・東日本大震災復興支援

 オール近大で復興支援、行政との連携で社会に役立てる大学。

 ・学生の立場から新設学部を設計する

 近畿大学14学部の出発点は理工系で最も新しい学部が国際学部です。

 近大国際学部は、他の大学の留学生が2年生の9月に留学するのでなく、1年生の9月から出発し、2年生の前期までを留学に充てる。こうすることで、就職活動やインターンシップに十分対応する時間ができる。また、日本でない大学に身を置き、約1年間暮らす中で起きる諸問題に向き合うこと、この体験が大きな財産となるのでしょう。前例よりも学生のことを考えた大学作りを進めていると思われます。

 ・近大は先駆けになることをいといません

 人を育てることは国の未来を創ること、その意味から教育機関には、国の税金があてられています。近大の収入における学生納付金割合は、4割以下です。他の収入は寄付金、補助金、収益事業、産学連携の実現と実績です。産学連携は、学生にとっても貴重な学びの機会となり、また企業経営者の助けとなり、地域の活性化につながっています。

 常に近畿大学は、新しいことに取り組んでいき、大学間の横並びの発想でなく、学生にとって良いことであれば、前例がなくとも採用していく攻めの大学なのです。

 

 少子化で学生数減少のなか、小手先の志願者集めに走る大学は淘汰されていくしかないだろう。今後は、学問を究めていく大学と社会に出て役立つ専門知識・技術を身につけられる大学に二極化していってはどうでしょう。